なないろ小花のおうちカフェでクラシック

もうすぐ50代!3人の子供たちが小さい頃から続けてきたヴァイオリンやチェロを応援しながら、趣味でパンやお菓子を焼いています。

主人のバイク事故2~手術~

主人が手術をしている間に、病院の方から

「こちらに電話をかけて下さいね」

と言われ、渡されたのは三重県警高速隊の連絡先でした。

早速電話し、事故の様子を教えて頂きました。

まず、単独自損事故で他に被害者はいないとのこと。

あ~、よかった~
一番気がかりでした。

後続車の方が2台すぐに止まって救助して下さり、救急車と警察に連絡して下さったこと。

事後現場にはハンマーが落ちていて、

おそらくそのハンマーに乗り上げて転倒したのではないかということでした。

あとは事故の起きた時間と場所を教えて頂き、電話を切りました。




談話室に戻り、椅子に座ってふうっと一息つくと、やっと涙が出てきました。

人って、自分の許容量以上の出来事が起こると涙も出ないものですね。

主人の置かれている状況に思いを巡らせ、

どんなに痛かっただろうか。
ハンマーさえ落ちていなければ…

などと考えていたら不意に涙がこぼれてきました。

感傷的になりかけた頃、看護師さんが書類持って登場。

あっという間に現実に引き返し。

手術の同意書と入院誓約書。

入院に必要なもののリストをもらって
泣いてる場合じゃないわと気持ちを奮い立たせました。



予定の時間を1時間オーバーして手術が終了。

ICUにて主人と再会。

左手はさらにグルグル巻で、天井から包帯で吊り上げられていました。

点滴、酸素吸入に血圧計、心電図で全身管だらけ。

それでも部分麻酔だったのですぐに話ができてホッと一安心。



しばらくして主治医の先生に呼ばれ、手術の経緯を聞きました。

相変わらず、先生は厳しい表情を変えません。

術前、術後の写真をモニターで映しながら説明をしてくださいました。



う、写真はなかなかグロい…



でも、先生は主人の指を元に戻そうと一生懸命頑張って下さったわけだし、

必死で平静を保って説明を聞きました。


手術は成功。
中指と薬指にワイヤーを4本入れて固定。

ただ、薬指は骨が削れてほとんど残っていないので、
出来るだけのことはしたが、元のように動かすことはかなり難しい。
やはり最終的には切断する事も視野に入れておいて下さい、との事。

次は化膿の問題。
アスファルトで受傷しているので、
傷口は極力綺麗にはしたが、化膿してくる場合がある。

あとは、指先は痛みを特に敏感に感じるので、痛みをコントロールできるかが心配とのことでした。



先生は一通り説明を終えると、厳しかった表情がふっとゆるみ、

「僕もね、バイクに乗るんですよ」

と、急に話しだしました。

「ご主人と同じように名阪国道で事故してね」

「でも名阪国道のバイク事故で、これだけの怪我で済んで、不幸中の幸いでしたね」

「まだ予断は許しませんが、脳と内蔵に損傷がないのは本当によかった」

との先生の話に、ずっと張りつめていた気が一気に抜けるのを感じ、私も胸をなでおろしました。

すると先生は

「さて、僕はちょっと寝てきますよ。一睡もしていないんでね。」

「ご主人が運ばれてくる前にも患者が来ていてね。治療が終わったと思ったらご主人が運ばれてきたもんだから、今日は全然寝てないんですよ。」

と取り繕わないその言い方に先生の誠実さを感じ、

「先生、本当にありがとうございました」

とありきたりの言葉しか言えませんでしたが、最大限の感謝の気持ちを込めて、 先生を見送りました。

続きます。

病院のパンフレット